書籍と雑誌の電子化の日々 ~実践2013年12月16日 14:33

やってみて改めて気づくのは、本、というか紙にはいろいろな種類があること。大きさ、厚さ、表面のすべすべざらざら感、劣化の度合い、等々。したがって、全てが同じ調子でスキャンできるわけではない。機械の性能は向上しているが、調整がいる。

スキャナの方も、処理経過によって状態が少しずつ変わっていく。給紙部位(分離パッドと給紙ローラー)の摩耗、紙粉の付き具合、読み取り部位の汚れ、等々。このあたりも見極めて、調整しながら作業を進める。


背表紙の裁断あと
裁断。
裁断機を使えば、15mm位は一度に断ち切ることができるが、本によっては、押しつけられたときにずれが生じ、上側は端まで5mm位で調整したのに、下側は10mm以上になってしまった、ということが起こる。背表紙が丸みのある製本では、表紙に近いところと中央部ではずれが生じる。そのあたりを見極めて、裁断の単位を調整する。背表紙が丸みのある本は、両表紙側と中央部の3つ以上に分割すると具合がいい。背表紙が平たいものでも、厚くしすぎない。図では、右が平らな背表紙の例。それでも少しずれる。左は、丸い背表紙の表紙側の例。ずれ幅が大きい。

分割するときは、製本する単位の切れ目にカッターを入れる。大きな紙を4枚(8ページ)や8枚(16ページ)単位で折って製本することが多いようなので、その区切りを見つけるとばらばらになりにくい。

苦手な紙。
・コミック雑誌の厚手でざらざらした紙。摩擦が大きいので重送(複数枚が重なって取り込まれる)が発生しやすい。給紙部位の摩耗も多くなるよう。
・非常に薄手の紙。プロセッサの仕様書が何冊かあった。丈夫だが、透けるような紙。厚さ2cm位なのに500ページ以上あるもの。薄すぎて、これも重送しやすい。
・大判で薄くてぺらぺらした紙。取り込みには問題が無いが、送り出したあと、紙が丸まってくしゃくしゃになりやすい。スキャナから排出されたら、すぐに手で取り出す。
・表面に細かい粉が付いている紙。フルカラー印刷の本で数冊あった。スキャナの紙を送る機構が滑って、絵が乱れる。あとで画像を確認し、取り直す。こまめに内部のローラーを掃除する。
・古くて劣化の進んだ紙。茶色く変質し、破れやすくなっているもの。手元にあったものでは、昭和22年発行、美濃部先生の新憲法(現行憲法)の解説書。戦後すぐで紙質が悪いせいもあるのだろう。それほど古くなくても、1980年代のコミックやコミック雑誌は劣化が進んでいた。

新憲法概論昭和22年


読み取らせ方。
毎回、同じページ数で読み取らせると、重送にすぐに気がつく。これも、8ページ、16ページといった製本の単位の倍数で読み取らせるのがよい。総ページ数は、8や16の倍数になっていることが多いので、読み取りの正確さを担保しやすい。最近の機種は重送検知機能が充実しているようだが、重送してしまうとリカバリが必要なのは変わらない。枚数は少なめの方がリカバリ作業は楽。個人的には、16枚(32ページ)単位でするようにしている。あまり小さいと作業時間がかかるし、大きいとリカバリ作業が大変になる。そのちょうどいい単位を見つける。会社でコピー用紙のスキャンをするような場合は、機種の上限に近い給紙でも問題ないのだろうが、本は一冊一冊状態が異なるので、欲張らない。

重送が多い場合は、枚数の単位を減らす。16枚を8枚、8枚を4枚、4枚を2枚、どうしようも無い場合は、1枚単位で。

いろいろやってみると、国内の本はほとんど、4枚や8枚単位である。カラーページとモノクロページの切替もこの位置である。洋書の場合は、必ずしもそうではないようだ。


分離パッドの摩耗
給紙部位の摩耗。
まとめてセットされたところから、一枚一枚紙を取り出す部分。EPSONの製品の場合は、分離パッドと給紙ローラーの2つからなる。交換の目安は10万枚。交換時期に確認したところ、給紙ローラーはそれほど変化は見られないが、分離パッドは大きく摩耗している。ピントが甘いが、左が新品、右が10万枚を経たもの。実際には、この部分が少しずつ削れることで、紙を取り込んでいる。手でこすってみると、少し削れるのがわかる。

この部分の状態により、きちんと取り込めるかが決まる。重送の発生頻度が上がってきたときは点検する。紙質によっては、目安よりも早く摩耗する。摩耗しきっていなくても、全体で一様に摩耗せず、ヒゲ状の部分ができていると重送しやすくなる。この場合は取り除くと改善する。分離パッドと給紙ローラーは、消耗品。その割に高価なのが玉に瑕。


紙粉汚れ
紙粉の掃除。読み取り部位の掃除。
紙を多量に処理していると、どうしても紙の粉が出てくる。これが、スキャナの読み取り部分に付くと、画像に線が入る。紙を送り出すローラー部に細かい粉が付着すると、滑る。ときどき、掃除機できれいにする。

製本で糊を使う。裁断後、背表紙の近くには、糊が残り、スキャナの読み取り部に汚れが付くことがある。小さいサイズの読み取り後、大きなサイズを読み取ると線が入るような場合、小さいサイズの本の糊が付着した恐れがある。ときどき画像をチェックして、少し濡らした布などで読み取り部をきれいにする。

最後に、まとめ。

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