エスケヱプ・スピヰド 六2014年08月03日 11:10

仕事が忙しくてへろへろな毎日には、ラノベがよい薬になった。コミックではなく、活字が欲しいが、密度の濃い文章は頭が受け付けない、そんな時がある。忙しさが落ち着き、そんな状態を脱し、しばらくすると、だんだんと、ラノベから距離を置けるようになる。

エスケヱプ・スピヰド 六
さすがに、軽すぎるノリの本は手に取ることが少なくなったが、それでも幾人かの作者のシリーズは続けている。エスケエプ・スピヰドもその一つ。あとがきによると残り一巻。一つ手前の六巻では、これまで描かれたいくつもの人生が一所に集まってきて、最終巻の盛り上がりを予感する。

時は、昭和101年。20年ほど前、大きな戦争が両軍の疲弊からなし崩し的に終了し、ようやく復興の途についた矢先、再び戦端を開き、決着を付けようとする勢力が現れ、復興の中で人間性を取り戻しつつある主人公達を巻き込んでいく。背景は歴史改変もののようだが、その味わいはあまりない。兵器として第二の生を得た兵士の、戦後の葛藤の物語。軍事、科学用語を駆使した畳みかける勢いのある描写が心地よい。SFとして読むと、どうか?という感じだが、まあ、これだけ読み手を楽しませてくれるのだから許したい。

本屋さんでコミックや文庫の片隅にちょこっとあったラノベも、最近では堂々と複数の書架を占有するまでになった。ロードス島戦記からの読者には、隔世の感。疲れた頭向けのものから、本格的なものまで、内容も充実度も千差万別。従来のジャンルに閉塞感も感じられる中、内容的にも読者層についても、新陳代謝の役を担っている。

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