現代マンガの冒険者たち2014年08月14日 10:47

アニメにもなっている月刊少女野崎くんの2巻を読んでいたら、友人と一緒にラブレター(果たし状)を見つけて慌てるヒロイン(一応)の千代のギャグ顔が気になる。デフォルメの仕方、慌てる口の歪んだ線。本作の絵柄は、いわゆる正統の少女マンガのそれ。
少女マンガのギャグ表現のルーツはどのあたりなのか。少年マンガだと赤塚不二夫あたりになりそうだが、絵柄全体がギャグ表現というわけで無く、いつもは美少女、美男子の絵柄が、突如、くずれる、この効果を狙ったのは、誰からだったろうか。

現代マンガの冒険者たち

そんなことを気にして見つけたのが、現代マンガの冒険者たち。5つの軸で、マンガとマンガ家の系譜を明らかにしようとする。ギャグマンガの系譜、少女マンガの系譜も取り上げている。結論から言うと、最初の疑問のギャグ表現の系譜は解明されなかったのだが。

一言でも触れられているマンガ家は500人を越えるくらい。その中で、著者が主要と考えるマンガ家を、それぞれの系譜における立ち位置、何が革新的であるのか、何がその後に続く作家に影響を及ぼしたのか、論じていく。

読み終わって改めて感じるのは、取り上げられた幹や重要な転換点にあるマンガ家の本をほとんど手にしていないこと。マンガをよく手にするようになったのは90年代以降で、周辺系ばかりを漁ってきたいせいか、80年代以前や大河の中央部分の記述はかえって新鮮。少し手を広げて読んでみようという向きにはよい案内になる。

たくさん取り上げられているマンガとマンガ家だが、実際の作品を一コマでも掲示するものは限られる。そんなとき、電子書籍サイトの立ち読み機能は役立つ。多くの作品では、数ページ分参照できるので、絵柄やお話作りの雰囲気を確認できる。

それでも、重要とされるマンガ家の作品は、意外と電子書籍になっていない。eBookJapanは、先日、マンガ販売ラインアップが10万冊を越えたことを発表したが、まだまだ。
電子書籍化については、作家本人が良しとしない場合もあるだろうが、充実を期待したい。このような案内書を片手に多くの作品を渉猟することができるのは、電子書籍ならではの楽しみ方でもあるし。

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