近世とはなにか ― 2014年11月06日 14:59
朝尾直弘著作集の第八巻。近世とはなにか。最終巻。日本史の中での近世の位置づけ、日本史という学問の学問史、学問としてのあり方、等を論ずる。これまでの巻で論じてきた事柄の総括となる論も多い。
・先達にあたる三浦周行の歴史の定義を引く箇所がある。時代の変わり目といわれる今、どんな暗流が流れ、どの程度漲ってきているのであろうか。
「社会の裏面や下層に流れて居る暗流が、段々と漲って来るにつれて、これまで表面勢力のあった上層のものも、いつしかそれに推し流されて漸次下層と入れ替わる」
・近世に市民社会の芽生えを感じ取り、述べている。期間は違うが、戦後の経済発展後、今に至る社会の沈滞状況に通じるものはないか。
「三〇〇年の平和は一方で社会の固定化をもたらし、民衆の獲得した新しい秩序を因習と抑圧の機構と化し、人々の生活を姑息にしばりつける結果を生み出した。(中略)一般民衆がそのことに気づくためには、精巧にできあがったかれら自身の村落自治、村掟の秩序を一度解きくずさねばならないであろう。それは中世農民の闘いの成果であっただけになかなかの大事業であった」
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