シェアリングエコノミーの闇の面2014年12月01日 08:46

ACMの会報CACMの2014年11月号から。

シェアリングエコノミーの闇の面

米国でも急速に広まっているシェアリングエコノミーだが、制度も利用者の意識も発展途上であり、いいことばかりではない、それに対処するための取り組みも始まっている、という記事。以下の例が、挙げられている。

・部屋の一時貸しの利用者の中には、周囲の住人に配慮が足りない人がいる。短期貸しの方が収入がよいので、低価格の賃貸物件が減少している。
・偏見に基づく意見、事実に基づかない批評がオンラインのサイトでシェアされ、いわれのない被害をもたらすことがある。
・自家用車の共同乗車(ride-share)では、運転者が無免許だったり、保険に入っていない場合がある。
・企業活動であれば、従業員の教育や健康保険、年金などの費用を含めて料金を設定するが、シェアリングではそれらを含まない。低料金でシェアリングが普及すれば、会社勤めならもらえたはずの給料より低い収入に甘んじなければならない人が増える。
・利用者間の貸し借りが増えれば、映像や音楽などの1次制作者の収入が減る。

以降、これらに対する対策や対応の現状が示されるが、他方、行政も法も変化になかなか追いつけないでいる。制度が整うまでやっちゃだめ、という見方もあるが、自己責任の文化が優勢な米国や欧州の一部ではどんどん先に進む。グローバルに展開するところもあり、身近なテーマでもある。まずは、提供する方も利用する方も、よい点も悪い点もよく理解しつつ、というところ。

シェアリングエコノミーでは、オンラインのサイトの果たす役割が大きい。利用者の採点や口コミが鍵を握る。一つ前の記事で、どうやってオンラインのレビューを誠実な(honest)ものにするかを扱う。こちらもセットで読むとちょうどいい。

12月はつぶ餡2014年12月01日 11:51

オランダ家の毎月一日発売の福月餅。12月はつぶ餡。

福月餅12月はつぶ餡

ひょっとすると裏返しの大福?

こし餡よりつぶ餡派の身には、一番しっくりする味。甘い中に豆を感じたい。

インターステラー2014年12月01日 17:35


インターステラー

宇宙ものは、ゼロ・グラビティ以来。宇宙空間の冷たい感じ、漆黒の感じは、ゼロ・グラビティに譲るが、こちらもなかなかの出来映え。思わず、もらい涙。

一般相対性理論とか、物理学用語が頻発するので難しい、という評もあったが、気にならない。その方面の本をよく読むからかもしれない。映像は、地球の場面と、宇宙に旅立った側の場面が、交互に映し出され、その対比が見事。最初は、関係性が見えてこないが、最後に見事に収束する。最後のちょっとばかりご都合主義の展開は、もっと突き放したほうがいい、という人もいるかもしれない。でも、お陰で話がぐっと人の側によってきて、身近なところに余韻を残すのは、これはこれで好き。

小道具では、宇宙船は、相変わらず無骨。NASAに監修してもらうとそうなるのか。でも、人工重力を生み出すため回っている。2001年のステーションと同じ。国際宇宙ステーションは無重力実験重視のため回らないし。知能を持ったロボットは独特の造形。最初はちょっと浮いている感じもしたが、機能的な意味があることを見せられると納得。緑の文字中心のディスプレイは古めかしいが、意図的なのか。最後に、スペースコロニー。ガンダムでおなじみの円筒形だが、実写イメージで見せられると圧巻。

FURY(フューリー)2014年12月01日 20:59


FURY(フューリー)

今日は一日で月曜日、イオンシネマはお得。おっと、そもそも映画の日。ということで、2本目を見に行く。戦争映画は久しぶり。フューリー。
http://fury-movie.jp/

戦略とか戦術とか、そんなものを少し期待はしていたのだけど、あっさり裏切られる。描かれていたのは、力と力、いや、暴力と暴力の正面からのぶつかり合い。見ている間、ずっと、右手は左腕を堅く握りしめて、身じろぎできない。ラストシーン、最後の戦いの場所が静かに映され、ようやく息をつける。タイトルが、諦め、ではなく、憤怒、であることが救い。

戦場で、戦争の道具はどう使われるか、兵士はどう戦うか、を直視する映像。忘れないように、数年に一度は見返したほうがいいかもしれない。

補充によこされた新兵が、上官の命で初めて敵兵を射殺するシーンがある。その後、彼は身体の震えが止まらない。同じ戦車に乗る兵が、コーヒーをついで渡す。彼は、ふるえながら両手でカップを抱え、すする。そのときの気分に及ぶべくもないのだろうが、観終わった後、温かいコーヒーが欲しくなった。

凄辛チョリソバーガー2014年12月02日 20:58

フューリーの印象は、一晩寝てリセット。なかなか、そうもいかないか。

凄辛チョリソバーガー

夜は、モスに出動。季節限定の凄辛チョリソバーガー。普段、スパイシーシリーズを愛食しているだけに、どんなものか。結果、スパイシーチリドッグには及ばず。チョリソー自体の辛みと、刻んだハラペーニョがいいアクセントになっているが、凄く辛い、というほどではない。

お供は、こちらも季節限定のタコと野菜のトマトクリームスープ。たこ?と後回しにしていたが、トマトの酸味がきいたこくのあるスープに仕上がっている。海鮮風味はあまりなく、たこの食感を時折楽しむ感じ。

王書2014年12月03日 10:32


王書

ペルシャ、今のイランの古の王と英雄たちの物語。書かれたのは、日本の平安時代の頃。ササーン朝ペルシャがアラブの勢力に滅ぼされてから300年ほど後。アラブに服さない周辺部でペルシャ高揚の意図を持って書かれた、と解説にある。

収められているのは、全体の四分の一ほど。文庫で350ページほど。王たちの在位は数百年を数え、神話の世界。ギリシャの神話とは異なり、神が表に出てくることは少ない。その点、中国の史書に親しいが、反対に倫理が関心に上ることも少ない。とにかく、圧倒的な戦いの描写、煌びやかな富の描写が目を引く。他方、どんな英雄たちも死により無に帰す、一種の無常感が通底する。

近年のファンタジーや伝奇ものには、世界の神話に題材を取るものも多いが、ここはまだまだ未開拓。まだまだ、面白い話が埋もれている。

ルバイヤート2014年12月04日 08:12


ルバイヤート

なぜか、王書に引き続きペルシャの文学。王書よりは、少し後の時代の詩集。四行詩が、143編。ペルシア語の原典からの翻訳。リズム感のよい口語体。詩を収めるのは100ページほど。60ページほどの解説がつづく。解説は初版の1949年当時のものとみられ、イランという国が大きく変わったこともあり、古さを感じるのは少し残念。

解説によると、ペルシャはアラブの支配下に入り、上層階級はアラビア語を受け入れるが、後にペルシア復興の動きが高まると、文字や語彙をアラビア語から借りた新ペルシア語が登場し、その元で文芸が復興する。それが文学であり、数学をはじめとする科学であった。当時の学者は、文学にも科学にも通じるジェネラリストをめざしたようで、オマル・ハイヤームも数学者としても知られる。

詩は、王書でも感じた一種の無常感が広く支配する。ただし、恨みがましい感じはせず、さばさばとした印象。酒をうたうものも多く、解説は李白に通じるとも言うが、そちらは読み込んでないので、なんとも。酒でもって世の中や人生を嘆くというよりは、楽しもうという風である。

ジュリスト 2014年12月号2014年12月04日 16:16


ジュリスト 2014年12月号

今号はなかなか読みどころが多い。

民法の改正要綱仮案

HOT issueは、民法の改正について。債権関係について、110年ぶりに大きく改められる。早ければ次の通常国会にかけられるとのこと。世の中が変わり、民間や行政が工夫し、いざこざが起こっては裁判所がなんとか規範作りに努め、ようやく法律が改められる。

こうしてみると、法律に従って行動する、ことは大切だが、他方、世の中が変わり、新しい考え方や規範が必要なときは果敢に挑戦する、ことも同じように大切であるとわかる。政治に働きかけて法を変えるところから始めるのが筋かもしれないが、実際は異なるようだ。そうそう、100年は待てない。

とはいえ、判例評釈のページでは、企業が整理解雇の範囲をなんとか拡げようと努めていたり、と一筋縄ではいかない。変える方向にもいろいろある。

競馬払戻金の所得分類と必要経費

租税判例の速報記事では、コンピュータを駆使し30億円近い馬券の購入と払い戻しを受け所得税法違反を問われた事件の高裁判決を報じている。結果、検察の控訴は棄却。原判決よりシンプルに、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」であるかどうかを問うかたちで判じている。どこまでが趣味の馬券購入か、営利目的か、の境目は、今後の事例で詰められることになるのだろうが、一応の決着はついた様子。

特集は、企業活動における訴訟と弁護実務。米国の訴訟手続の現状を説明する論文は、IT関係者も必読。Eディスカバリや、これに対応するためのリティゲーションホールド(litigation hold)の説明は、訴訟手続を知らないと理解できない。これらは、米国発のクラウドサービスのデータ、特に電子メールデータに関するサービス、契約内容に出てくる。Office365のサービス説明の意味がようやく腑に落ちた。