ILIUMとOLYMPOS by Dan Simmons2014年12月16日 22:18


ILIUMとOLYMPOS

Dan SimmonsのILIUMとOLYMPOS。記録によると、2006年の9月にAmazon.comで購入。ILIUMは比較的早く読み終えたはずだが、OLYMPOSはずいぶんかかってしまった。それにしても厚い。ILIUMが750ページほど。OLYMPOSは900ページ超え。

OLYMPOS

結局、進まないものだから、OLYMPOSは、Kindleで電子版を買い直して、辞書機能に頼ってなんとか読了。このKindleは初代。PaperWhiteとかの方が便利だが、読み上げ機能が気に入っていて買い換えていない。

題名からわかるように、ホメロスのイリアスが舞台のひとつ。他に、シェークスピアのテンペストが混ざり、ジョイスやキースの詩をはじめ色々登場する。お陰で、読み進めるために、ギリシャ神話やらシェークスピアやらキースやら読む羽目になった次第。

SFの前作になるHyperionシリーズに比べると、Amazon.comの評価は辛め。こちらも、同時進行的にいくつもの場面(5つくらい)が入れ替わり描かれ、最初は関連性がよく見えないが、結末に向け糸がより合わせられるように関連性が明らかになっていく。Hyperionのシリーズが謎解きの要素が強く、かつ、劇的な大団円を迎えるのに対し、こちらは関連性が見えやすく、終わりが必ずしも劇的とは言えないところが評価の違いに現れているのかも。振り返ると、IliumとOlymposのシリーズは、途中を楽しむ方に重きがあった。

いかんせん長いし、饒舌なところもあるし、ギリシャと英米文学の素地を要求するところもあるので、SF好きなら誰でも、とは言えないかもしれないが、引用される作者や作品をひもとき、作者がどう調理しているかを味わう楽しさがある。

SFとしては、量子論、多元宇宙論など、今でも最新の部類のアイデアが盛りだくさん。ずいぶん、はちゃめちゃに用いているのは、作者のいつもの流儀。ここで使い切ったためか、最近の著作は、ミステリの方に行ってしまっているのは、少し残念。

P.S.
早川書房で翻訳が出ています。イリウムとオリュンポス。
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