ジュリスト2015年8月号2015年10月20日 13:12

特集は、BEPSなど企業課税に関するもの。先週、モーサテでも取り上げていたが、遅いくらい。

JASRAC事件最高裁判決

判例速報では、JASRAC事件の最高裁判決。後半の時の判例の項でも詳しく取り上げる。最近、エイベックスが著作物管理をJASRACから引き上げてイーライセンスに移す、という報道があったが、判決後の環境の変化を見据えてのことだろう。

放送局が著作権に関する費用を支払う場合、JASRACでは、楽曲個別に払う方式と包括契約に基づく方式を用意しているが、後者の値付けが圧倒的に有利であり、前者はほとんど利用されない。この状態が、他社には大きな参入障壁になっていると争われた。

JASRACも、当初は、無断利用を防ぎ、著作物利用に費用を払う行為を普及させようと、便宜を図ったつもりだったのかもしれないが、現時点では、人為的に妨害している、と判じられた。世の中が変われば、それに合わせて考え方や仕事のやり方を変えていかないと、正義も不正義になるという例か。まさに、他山の石。

ジュリスト2015年10月号2015年10月20日 18:12

特集は、知財紛争、特にプロダクト・バイ・プロセス(PBP)・クレーム事件の最高裁判決をめぐる議論を中心に。特定の有効性を持つタンパク質の合成などの分野で、作り方は見出したが、できた物質の構造や特性を明確にできない場合があるとは、奥深い。それでも特許でなんとか保護するには、という議論。

渋谷区パートナーシップ条例

持論では、渋谷区の「パートナーシップに関する証明」を発行するという条例について。本論によると、ねらいは、住居への入居、入院、手術の際などに配偶者としての実質を有する関係であることを証明して、手続を円滑にしたい、ということ。確かに、賃貸借契約書には、勝手に誰でも住まわせてよい、とはなっていない。入院時の面会などでもトラブルになりやすいのだろう。

面白いのが、お互いの関係を、婚姻によらず、契約で同等の状況を作り出せるか、という思考実験。婚姻の有利な面として、離婚により、関係解消の仕組みが整備されていることを挙げる。個別の契約の積み重ねでは、お互いの責任が軽くなりすぎたり、重くなりすぎたり、バランスをとるのが難しいという。このあたりも婚姻類似の制度が求められる要因か。