ジュリスト2015年12月、特集 労働者派遣法改正2016年04月27日 10:16


ジュリスト2015年12月、特集 労働者派遣法改正

メディアでも大きな話題となった労働者派遣法改正の特集。その割に、労働者側、使用者側の寄稿とも今ひとつパンチに欠ける。しっかりとした労働組合を持つところや、経団連に加盟するような企業の外側、政策や立法の場に人を送り込めない場所にこそ問題の所在がありそう。

記事にある厚生労働省の統計では、派遣という働きかたを自ら選択した「本意型」が43.1%、やむなく選択せざるを得なかった「不本意型」が43.2%、とある。法改正には、不本意型の解消や待遇改善を目指す意図もあるが、不本意型がここまで増えたのは、法の隙間を突いてでも人件費を抑制しようとする経営者が多く存在したためであり、意図通りにならない懸念が強い。

他方、コアとなる事業以外の業務について、社外のサービスを活用する動きも速い。各種のクラウドアプリサービスなんかもそう。本改正を受け、人材の受け入れから切り替える向きも増えそう。こういったサービス提供側が人材の受け容れ先となれるといいが。もっとも、米国では、もっぱら人材の採用がインドなど国外に向いたことで批判も出た。これからは、機械(いわゆるAI)が代わりを務めることも。

結局、企業が雇用者を増やす気にならないといけないのだが、税や社会保障も含めた制度全体で考えていかなければ答えは出てこない。放っておくと、効率を追う利潤最大化指向の流れのままに、人材を中心に据える伝統的な企業は衰退し、個人事業主がUberのような仕組みでつながる社会に移行し、社会保障や職業訓練の担い手の多くが失われ、より個人主義が徹底する、これまでとはずいぶんと異なる世の中になる、そんな予感を強くする。

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