ことばと文字と文章と2016年05月23日 17:09


ことばと文字と文章と

おそらく、岩波新書の大野晋の一連の日本語の本を読んで、次を探して見つけたのだと思う。表題の「ことばと文字と文章と」は、全体の4割ほど。ほか、日本語に関するものと、著者の読書体験に基づく随想。全体にややくだけた調子の語り口。

「ことばと文字と文章と」を読むと、大野晋の新書よりも少し新しい状況を示している様子。注意を惹いたのは、書き言葉と話し言葉の章。佐倉の歴博に行くと、江戸の文書を多く目にし、国内津々浦々の小さな村にも立派な証文や訴状などがあって驚く。地域によって差異の大きな話し言葉とは別に、書き言葉が一種の標準として普及していたといわれれば納得。無理に声に出して読むのはナンセンスらしい。

台湾や中国の話もよく出てくる。日本統治下の台湾の様子を知ると、南蛮阿房列車の記述にも得心がいく。それにしても、かつての文化的同質化政策を紹介する件には肝が冷える。その子孫が、経済的利益ばかりを求めて英語に寄り添う姿はややもすると滑稽。