ガルブレイス - アメリカ資本主義との格闘2017年07月04日 21:15


ガルブレイス

伊東光晴氏の淡々とした語り口。放送大学の講義と教材を見た印象からは、伊東氏の研究自体、ガルブレイスの実証主義に多くを負っているのではないか。

ガルブレイスの一生を追う本ではあるが、今のアメリカについても多くを教えてくれる。今の大統領やその支持者が固執する考え方は、どこから来ているのか。欧州と同じ「自由」を標榜しながら、社会福祉への取り組みがなぜ正反対になるのか。

ノーベル経済学賞については、手厳しい。「それは本来のノーベル賞とは異なり、スウェーデンの銀行がつくったものであるが、銀行の方針ゆえに福祉国家推進論者は除かれ受賞者の業績のほとんどは、歴史の中で忘れられていくもの(第2章)」、と。ノーベル経済学賞の受賞者の意見を、経済政策の泊付けに使おうとする風潮があるが、その通りなら市井の人を見ていないやり方になる。

本書を読み進めると、アメリカの経済学が、アメリカの政治や国の事情に深く根ざしていることがよくわかる。確かに、「その国の経済が世界をリードし、中心に位置したとき、その国の経済学が世界の経済学の中心になっていく(第2章)」、とあるが、その事情を飛ばして、この国でも適応する、と無反省に受け容れるのは、やはり無理があると気づきそうなもの。そのあたりが、この国の経済政策がなかなかままならない要因か。とはいえ、学問の辺境では、それを説得する人材もままならないのも実情か。

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