幻想の経済成長 - The Growth Delusion2019年07月03日 09:16


幻想の経済成長

政策ツールとして偏重されるGDPについて、成り立ち、功罪、代替指標、などについて、多数の国におよぶインタビューや取材を通じて明らかにしようとする。

専門書というより一般書との位置づけなので、読みやすいが、同じような話が繰り返され、やや冗長ぎみ。SFやファンタジーでも、これでもかとエピソードを詰め込む本が多いが、これは英米の読者の好みによるのかも。経済番組などで論を張る経済成長論者と正面切った議論があれば、もっと迫力が出た。

GDPの効用と限界を理解しつつ、各国の目指すところに従い、いくつかの指標を併用すること。経済指標を耳にする私たちが、それを鵜呑みにせず、その意味するところを理解するように努めること。このあたりが、本書の一応の回答といったところ。

株式市場などが、単純なAIの活用で、経済成長偏重の判断をしているようなのが、懸念。有権者の変化を、実際の政策判断の変化に向かわせる障碍になりかねない。ここでも技術者の倫理が問われる。