こんなもん いかがっすかあ、SFまで10000光年2020年01月10日 08:05


水玉さん

「こんなもん いかがっすかあ」が1990年代前半くらいのPCまわりのネタ。「SFまで10000光年」は1990年代前半から2000年代前半に掛けての、SFを軸にしつつも、コミック、文学、ゲーム、映画、演劇、等々の雑多なネタ。なにより、水玉さんの絵柄が好き。両書ともしっかり楽しめる。

内容については、「SFまで10000光年」で、大森望さんが、あとがきに書かれているとおり。同じ時間を生きている人に向けた一筆。後世に残す気持ちは微塵も。月刊誌への寄稿としては正しい姿。おそらく、しばらく経てば、時間を共有しない人には、注釈なしではわからなくなる。時代の空気の証言としては、貴重。

「こんなもん いかがっすかあ」
一方では、予言の書。冗談で書いた事物が、20年後くらいにいくつも登場している。統合ソフト搭載のジャスト名刺サイズのデバイス。データスーツ入力デバイス。ゲーマー向けにお世話をやく一太郎。賢いワープロとしての、日本語翻訳機能。これはもう一息か。妙に一太郎ネタが多い。等々。

「SFまで10000光年」
その意味では名言集。迷言か。
「オレは一生誤読し続ける方のコースを激走(笑)していきたいな(P105)」
ちょっと共感。
「”ヒトでない自分”を悲しむAI、ってゆーのが、そもそもヒトの勝手な考えじゃないかと(P109)」
AIブームの度に、繰り返される議論。
「あとから学習して知ったってアンタにはわからない部分ってのがあるんだよ(P154)」
スターウォーズの新作に対して、馴染みのひとこと。時宜にピッタリ。スターウォーズ歌舞伎は、場面こそ違えぞ、予言が成就(P157)。

続きの「SFまで10万光年」。掲載誌のバックナンバはあるのだけど、やはりまとまっているのは魅力。購入してしまう。