世界の都市の物語;ソウル、ニューヨーク、イスタンブール、ウィーン ― 2022年05月05日 09:07
20年ほどの前の本。姜在彦(カン ジェオン)の朝鮮半島の儒教の歴史本を読んだ後、同じ著者の「ソウル」を手に取り、著者名にひかれて、猿谷要の「ニューヨーク」、陳舜臣の「イスタンブール」、森本哲郎の「ウィーン」と進む。
都市を紹介する本ではあるが、地理よりも歴史に軸があり、ここ20年の状況を別にすれば、内容は古くない。
読み物としては、ニューヨークが出色。次いでウィーン。様々なエピソードとそれにかかわる人物に、著者の随想を織り交ぜ、その都市を実際に巡っている気分にさせてくれる。イスタンブールは、少し同じところをぐるぐる回る感じ。ソウルは、儒教史に興味があれば。
ニューヨーク; もとオランダの植民地。ニューアムステルダム。英蘭戦争で英国領。読んだばかりのスピノザの頃。ヨーク公の名を取って命名。
イスタンブール;黒海、カスピ海周辺の複雑な歴史的事情を頭に入れるにもいい。アルメニアの虐殺をもたらした社会背景など、今の戦争につながるものがあるのかもしれない。
ウィーン;ここでも読んだばかりのウィトゲンシュタインが登場。ヒトラーの同時代人として、20世紀初頭のウィーンの語り部となる。
挙げた3都市は、どれも多数の民族が接し、新たな文化を興し、極論すれば世界を生み出してきた街。東京とは異なる街。東京の未来がめざす先なのか。
最近のコメント