未来の2つの顔2023年03月21日 16:45


未来の2つの顔

ホーガンで「未来の2つの顔」。解説は坂村健。

初出は米国で1979年。今でいう人工知能に重要なインフラの制御を任せられるか、ある事故を契機に検証が求められ、巨大な宇宙ステーション、イメージはスペースコロニー、にて、実験が行われ、機械が知性や良識といったものを得ることができるのか、前半は比較的のんびりと、中盤から一気に展開は加速していく。

書かれたのは、人工知能の研究を一段前に進めるのだ、と日本で第五世代コンピュータのプロジェクトが始まる頃。当時は行き詰まったが、現状、力業でそれなりの段階まで到達してきた。物語の世界の少し手前まで来ているかも。本書は、今後の展開のひとつの有り様を示しているかもしれないが、現状、必要な計算量が大きすぎ、物語のような機動力ある展開にはなかなかいかないように思う。それでも、序盤の事故の描写は、便利さにあぐらをかいて、深く考えずに突き進めば十分にあり得る。

むしろ、人間固有と信じてきた、「知性」の有り様が詳らかにされていくことの方が、社会や文化に与える影響が大きく、重大な選択を突きつけそうである。

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