アジアと漢字文化2014年09月26日 16:58

先日、TV番組表を見ていると、放送大学で漢字についての講義を見つけた。全15回のうち、視聴できたのは3回くらいだったが、漢字検定を目指したことのある身としては、なかなか面白く、教材を取り寄せてみる。

アジアと漢字文化

放送回数と同じ全15章。第1章から7章までは、甲骨文字から楷書に至る漢字の成立をたどる。

・漢字検定で難物の書き順は、思っていたとおり、根拠は薄い。漢字に親しむ、という目的からは、別のものを取り入れた方がよさそう。
・明朝体は、江戸期に入ってきた明の印刷物の字体ゆえの名前なのか。
・簡体字には草書の流れを汲むものも多く、日本人が思うほど意外なものでもなさそう。
・近年になって、見たところ、特に1990年代以降、発掘による新発見が相次いでいる。手元の漢和辞典は1980年代発行だが、巻末の漢字の歴史の説明は、少し古くなっている。漢和辞典もときどきは新調が必要。

8章は字書について。中国古典を読むときによく名前の挙がる説文解字を中心に説明する。

9章は漢字音について。漢字は、かたち、意味、発音、の3つを担う。そのうちの発音について。日本の呉音、漢音についても触れる。

10章は近代化の中での漢字の変遷について。中国でも日本でも一度は悪者にされたが、捨て去ることにはならなかった。

11章から15章は、中国の周辺諸国の漢字受容について。現在、漢字をメジャーな文字として使うのは、中国と日本の2国になっているのか。各国の事情があるが、音韻構造の違いが命運を分けたようである。

アジアと漢字文化第15回

こちらは、最終回の録画から。漢字受容を巡る座談会。教授陣の個性が見られ、なかなか楽しい。TV放送は、9月の集中放送期間の講座だった様子。特に、第9回は発音を巡る講義であり、ビデオ教材でないと伝わらない。いずれ、VODでいつでも視聴できるようになるとうれしいもの。
http://www.ouj.ac.jp/hp/kamoku/H26/kyouyou/B/kiso/1110101.html

論語、春秋左氏伝、史記などを好きな向きには、実に読解の助けになる。