ルバイヤート2014年12月04日 08:12


ルバイヤート

なぜか、王書に引き続きペルシャの文学。王書よりは、少し後の時代の詩集。四行詩が、143編。ペルシア語の原典からの翻訳。リズム感のよい口語体。詩を収めるのは100ページほど。60ページほどの解説がつづく。解説は初版の1949年当時のものとみられ、イランという国が大きく変わったこともあり、古さを感じるのは少し残念。

解説によると、ペルシャはアラブの支配下に入り、上層階級はアラビア語を受け入れるが、後にペルシア復興の動きが高まると、文字や語彙をアラビア語から借りた新ペルシア語が登場し、その元で文芸が復興する。それが文学であり、数学をはじめとする科学であった。当時の学者は、文学にも科学にも通じるジェネラリストをめざしたようで、オマル・ハイヤームも数学者としても知られる。

詩は、王書でも感じた一種の無常感が広く支配する。ただし、恨みがましい感じはせず、さばさばとした印象。酒をうたうものも多く、解説は李白に通じるとも言うが、そちらは読み込んでないので、なんとも。酒でもって世の中や人生を嘆くというよりは、楽しもうという風である。

ジュリスト 2014年12月号2014年12月04日 16:16


ジュリスト 2014年12月号

今号はなかなか読みどころが多い。

民法の改正要綱仮案

HOT issueは、民法の改正について。債権関係について、110年ぶりに大きく改められる。早ければ次の通常国会にかけられるとのこと。世の中が変わり、民間や行政が工夫し、いざこざが起こっては裁判所がなんとか規範作りに努め、ようやく法律が改められる。

こうしてみると、法律に従って行動する、ことは大切だが、他方、世の中が変わり、新しい考え方や規範が必要なときは果敢に挑戦する、ことも同じように大切であるとわかる。政治に働きかけて法を変えるところから始めるのが筋かもしれないが、実際は異なるようだ。そうそう、100年は待てない。

とはいえ、判例評釈のページでは、企業が整理解雇の範囲をなんとか拡げようと努めていたり、と一筋縄ではいかない。変える方向にもいろいろある。

競馬払戻金の所得分類と必要経費

租税判例の速報記事では、コンピュータを駆使し30億円近い馬券の購入と払い戻しを受け所得税法違反を問われた事件の高裁判決を報じている。結果、検察の控訴は棄却。原判決よりシンプルに、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」であるかどうかを問うかたちで判じている。どこまでが趣味の馬券購入か、営利目的か、の境目は、今後の事例で詰められることになるのだろうが、一応の決着はついた様子。

特集は、企業活動における訴訟と弁護実務。米国の訴訟手続の現状を説明する論文は、IT関係者も必読。Eディスカバリや、これに対応するためのリティゲーションホールド(litigation hold)の説明は、訴訟手続を知らないと理解できない。これらは、米国発のクラウドサービスのデータ、特に電子メールデータに関するサービス、契約内容に出てくる。Office365のサービス説明の意味がようやく腑に落ちた。