夏の流れ2014年12月07日 18:02


夏の流れ

日と月と刀が、変わった体裁と文体を取っていたので、丸山健二氏は、普段どのようなものを書くのだろう、と初期作品集を手に取る。短い文を紡ぐ有り様は、両者に通じる。長く技巧的な文、見知らぬ形容詞と比喩に飾られた文に出会うことが多い中、少し堅い印象はあるが、このような文体で小説をなすことができることに感心し、安心する。

七編の中短篇を収める。多くが、死が身近にある物語。死刑囚に接する刑務官、中絶に向かう夫婦、出稼ぎ先で亡くなる老人、云々。フューリーを観たすぐ後だけに、同類の話を呼び寄せた感を禁じ得ない。