伊勢物語 ― 2015年05月16日 10:32
講談社学術文庫。上下2巻。上巻は70段まで。原文、現代語訳、語釈、補説、をセットに一段ずつ記載されている。慣れてくると、語釈を時折見ながら原文を読み進めていける。和歌を軸とした物語なので、短い表現に多くの意図を押し込めており、現代語訳はずいぶんと長くなる。古典は全集もので読むことが多かったが、難しい話は少なく、一篇も短いので、ちょっとした待ち時間にも読み進められる文庫にも向いている。
下巻の巻末の解説によると、成立は10世紀の前半頃まで。平安京遷都のあと、旧都を思いやる話があることから、物語の主な舞台は9世紀の前半くらいであろうか。
先だって伊勢に詣でたが、京から奈良、伊勢にかけての地理を知っていると情景を浮かべやすい。当時の風習を知らないと意味が通らない話もあるが、恋の話に宮勤めの話と、多くは今でも共感できる。むしろ、男性優位社会が確固たるものになる前の雰囲気を伝えており、少し昔より今の方が共感しやすいかも。
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