記号創発ロボティクス 知能のメカニズム入門2016年07月26日 07:35


記号創発ロボティクス

人の知能の仕組みについて、分析的に迫るのではなく、構成論的に迫ろうとする。中がどういう作りになっているかを探るのではなく、同じような振る舞いをするものをとにかく作って動かしてみて、そこから学ぼうとする姿勢で臨む。

一つの大きな壁は、人の知能が「認知的な閉じ」の状態にあること。誰も他人の頭の中は覗けないし、コンピュータのようにプログラムすることもできない。人は生まれて、周囲を囲む様々な情報(掛けられる言葉だけでなく)のなかで、自ずと言葉を学び、知能を獲得する。センサ類を備えた身体と、最新の情報理論を組み合わせた各種の実験から、これが実現可能であることを示す。

「人工知能」の研究といえば、LISPなどの記号処理システムにはじまり、第五世代コンピュータのプロジェクト、最近の機械学習など、横目で見てきたが、そこで感じていた違和感の在処が少しはっきりする一方、今度はもう少し肉薄できるのでは、と期待させる。

他方、知能の仕組みの理解が進むことは、人を絶対視する暗黙の認識への挑戦でもあり得る。得られた知見を実際の人にフィードバックすることは、遺伝子検査がそうであるように、人を新たな尺度で識別する可能性を開く。人の経済的価値を偏重する社会では、知能を構成するメカニズムの働き具合で、その人の意思の軽重を問うたり、職業を選別する世の中を招かないだろうか。「人」そのものが問われる時が近づいている。

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