線路に立ち入り事故を招いた認知症の人の家族の責任2017年01月27日 11:02


ジュリスト2016年7月

「最高裁、時の判例」の欄にて、報道でも話題となった、認知症の人が線路に立ち入り事故を起こしたのに対し、鉄道会社が家族に損害賠償を求めた裁判を取り上げる。

事故を起こし死亡した方は、要介護4。訴えられた、その妻は要介護1。同じく訴えられた長男は両親とは別の住まい。その妻が近所に転居して介護の補助をしていた。

報道にあったように、最高裁は、妻も長男も、訴えの根拠とされた民法714条1項による「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」にあたらないと判じ、損害賠償の請求を棄却した。

司法が異なる判断をしていれば、認知症の人を閉じ込めることになりかねず、また、介護のために親と同居することも躊躇われることになりかねなかった。

訴えた鉄道会社も、訴えなければ、逆に株主から損害賠償請求を求められかねないとの判断だったろうが、自身の安全対策の実施や立法が後手に回ったと言える。裁判の常とはいえ、訴えの前に手を打てていれば、と。

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