自動運転と民事責任2017年02月05日 21:19


ジュリスト2017年1月

特集は、「自動運転と民事責任」。レベル1から4までの自動運転の定義の解説にはじまり、運転者、販売店、メーカーの責任、自動車保険、ソフトウェア化の課題、ドイツとアメリカの状況などを網羅する。

まだ、法の議論としては端緒についたばかりで、これからという印象。それでも、今年2017年には、レベル3(システムが要請したときのみドライバーが対応する)の自動運転車の販売が始まるという。なお、アメリカでは、民事責任の問題が、導入の妨げになる状況にない、というのは、お国柄か。

ここからは、少し脱線して考えてみる。自動運転の普及が進み、それに頼る人が多数になると、世の中の様相がいろいろ変わってきそう。普及が先と、当面、見て見ぬふりをされそうだけど。

・ソフトウェアの不良が一時に多数伝播するリスク
個々のソフトウェア不良の議論も大切だが、同じソフトウェアを多数の車体が用いることから、不良が同時に多数の車体に伝播するリスクの方が重要ではないか。Windows Updateの不良によりPCの不良が全世界で同時に多数発生することが何度もあったが、同じようなことが車でも発生しかねない。

・交通ルールの変更、標識や路面の表示変更への対応
自動運転ソフトウェアのサポート切れの車体は、これらの変更に対応できず、走行できなくなる。車体が無事でも使えない、Windows XP問題と同様の事態が車でも発生する。大事に長く乗りたい人には逆風。でも、自動運転車は愛着の対象にはならないかも。

・予算不足で整備が行き届かない道路の封鎖
古くなった標識や、見づらくなった信号など、交通インフラの整備不良で行政に事故の責任が問われる場合、自動運転車通行止めの道が出てくる。ややもすると人ならば運転できる道も封鎖されかねない。

運転するのが人の場合、個々の人が学習し、変化に対応する。精度のばらつきはあるけど。機械の場合、メーカーなどが一括して集中的に制御する、採算を考えて行動する、そのため融通が利かない。これによるしわ寄せが、いろいろ出てきそうではある。

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