Singularity Sky, Charles Stross2017年05月02日 14:39


Singularity Sky

2004年の刊行。機械が何らかのきっかけで意識を獲得して、独自の進化を遂げた世界を描く、との触れ込み。それは間違ってはいないが、シンギュラリティを正面から捉えたというよりは、シンギュラリティを経た世界の一幕を切り取ったという風。

東欧風の文化を継承する星系の片隅に、Festivalと呼ばれる「人」ではない勢力が訪れ、混乱をもたらす。その様子が序盤。星系は、そこに艦隊を派遣するが、そこに別々の勢力から送り込まれた主人公二人が潜り込む。艦隊内のドラマが展開し、現地に着く頃には、ページの8割を越えている。現地に到着し、いよいよ、「人」でないものと対峙するか、というところでエピローグ。

古来の文化に執着し、「人」でないものの意思を理解すること、受け容れることすら困難な人と、なんとか理解しようと苦心する人のやりとりを通じて異質性を浮かび上がらせる、という意味では、シンギュラリティを扱った作品と言えるが、肩すかし感は否めない。

そう思って、Amazonを見てみると、三部作。本格的な対峙は、次作以降で語られるのだろうか。造語は多いが、読みやすい文体。ただ、Dan Simmonsと比べるとずいぶんと平坦な展開で盛り上がらない。

SFマガジン 2011年5月

Amazonの購入履歴を見ると、2011年の購入。探して見ると、SFマガジン5月号の「チャールズ・ストロス&コリイ・ドクトロウ特集」に触発されたものらしい。今見ると、ハヤカワからは三部作として翻訳も刊行されていた。

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