Werner Vogels (Amazon CTO) 14年越しのインタビュー2020年11月16日 20:40


Werner Vogels

ACMの会誌にAmazon CTOのWerner Vogels氏のインタビュー記事が掲載。14年前の記事にさすがと唸ったのを思い出す。今回、主にS3のサービスを取り上げ、飛躍的に拡大し、複雑化した今に至る取り組みと現状を語る。

当時(2006年)、S3のサービスは8つ。2019年は262。システムのデザインの基本は変わらない。自分たちは、「プラットフォーム」ではなく、「道具(ツール)」を作るのだという。プラットフォームの例としてWin32や.NETの体系を挙げ、これらは大規模で複雑で、使い手とのやりとりを通じて素早く変革を遂げることはできない。だからこそ、小さくて小回りが利く「道具」でなければならない。

世の中の変化の速度が速く、質的にも量的にもビジネスの変化の速度が速くなる、そこを見通しての慧眼。クラウドのサービスは、一見、かつてのメインフレームのサービスに重なるように見えるが、異なる。「道具」とはどんなものか。使い手と作り手の立場から、いくつか例を示す。

後半では、開発チームが巨大になった故の苦労も語られる。新しいサービスが既に廃止を決めたAPIを使おうとしていた、との例を挙げ、情報や知識の共有のあり方について、ヒントを与えてくれる。この悩みからはAmazonといえど、逃れられない。

印象的だったのは、序盤の一文。S3が、インターネットのさまざまなサービスと比べて、数世代は先を走っているのは何故か、との問いに対して、それは先に始めたから、時間の問題に過ぎない。加えるなら、その間、使い手との間で改善や変革のためのやりとりを絶え間なく続けてきたから、と。

それを可能にすることを第一にしたシステムのデザインを徹底できたことが、今のAmazonの姿の根底にはある。


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