数学の視点2015年01月20日 09:40


数学の視点

目次を見ていると、方程式に素因数分解に角の三等分問題にベクトルと、あれこれ四方山話を詰め込んだのかなと思わせておいて、結局、環や体や群の優れた導入の話になっているという。

数学は高校までで、大学の教養でちょっと数論をかじったくらい。その後、理工系向けの大学初年度向けのテキストなどを試したものの、道具として身につけることを優先した記述は、どうしてもしっくりこない。そういう立場で本書を読むと、古代からの歴史の中で、問題を解くために、時に数の性質を突き詰め、時に作図を突き詰め、云々と、様々な道具立てを編み出してきた思考の経緯がすっと入ってきて、これまでの消化不良が解消される。最後のガロア理論のあたりは、新しい消化不良に残ってしまったけど。

まえがきにあるように、数学好きの高卒程度の下地があれば、読み進められる。記号の解説もしっかり(ちょっとばらつきはあるけど)。誤植はいくつかあるようだが、自己解決できる範囲。とはいえ、代数やベクトル解析のテキスト、数学入門辞典(岩波)のお世話になった。手元に使い慣れた参考書類はあったほうがいい。

あとで手元の本を探すと、岩波口座 現代数学への入門のシリーズの代数入門1,2が同じ上野健爾氏の著作でカバーする範囲も似ている。より専門的にはこちら。

ExtendedGCD2015年01月20日 10:59

「数学の視点」を、例題をいくつか手計算で確認しながら読み進む。Mathematicaがあるのだから、例題に使えるか試したくなる。Cookbookには代数の例は少なかった気がしたけど。

定理2.1.3(数学の視点、から)
正整数m,nの最大公約数がdであれば、
  d=pm+qn
を満足する整数p,qが存在する。特にmとnとが互いに素であれば、
  1=pm+qn
を満足する整数p,qが存在する。

を受けて、

問題2.1.1
m=36, n=47に対して、36a+47b=1となるa,bを求めよ。

手計算では結構苦労したので、さて。

Solve, Roots, Reduce

素人らしく、SolveやRoots、Reduceでは、求める解は出てこない。a,bを整数と指示しても変わらない。ここまでは予想のうち。

ExtendedGCD

悩むこと数分、マニュアルの目次から、整数論に関連する関数の項に、そのものずばりの関数を見つける。ExtendedGCD:拡張版の最大公約数。引数の順番を変えると答えが変わる。いや、あっけない。

拡張版の最大公約数については、ユークリッドの互除法の拡張版で探すと、いろいろなサイトに説明がある。手計算でもう一度、確認。確かに、同じ答えが得られる。

PolynomialReduceとSymmetricReduction2015年01月20日 11:43

「数学の視点」からもう一題。5.5.5で3次方程式を論ずる中で、判別式を3次方程式の係数を使って表す計算がある。少し面倒な計算なので、Mathematicaの力を借りられないか。

基本対称式

U+Vをx1,x2,x3の基本対称式a1,a2,a3で表すための計算。
下付文字にしていないのは、ただの怠慢。

基本対称式による表現

答えは、a1 a2 - 3a3 になるらしい(本書、誤植?)。展開すると、U+Vと同じかたちになる。

PolynomialReduce

探してみると、PolynomialReduce(多項式の簡約)が使えそう。答えがリストで返ってくるのが少々厄介。答えを使って式を組み立ててみると、a1とa3は使えているが、a2を使えていない。展開すると、U+Vと同じかたちになるので、方向はあっていそう。

PolynomialReduce その2

PolynomialReduceの引数の与え方を逆にしてみる。今度は惜しい。

SymmetricReduction

ここで一思案。ふと、アドオンの代数関連のパッケージを見ていると、対称式に関連していそうなものを見つける。またしても、そのものずばりの関数がある。SymmetricReduction。今は、標準の関数になっている様子。-3a3+a1 a2が得られる。

やはり、MathematicaCookbookのようなテキストがあると助かる。そうでないときは、丹念にマニュアルを探っていくことになりそう。