ジュリスト2016年2月、シェール開発を巡る米国内の攻防2016年05月03日 16:42


ジュリスト2016年2月、シェール開発を巡る米国内の攻防

特集は、個人情報保護法とマイナンバー法改正。やや前者に重点を置いた論述。今のように世の中の変化が速い時期は、どうしても法の対応は遅れる。誰かがなんとかしてくれる、ではなく、ひとりひとりの対応が求められる時代、ということを示唆する。

興味深かったのは、連載「行政法の最前線」の「米国ニューヨーク州におけるシェールガス採掘禁止」の記事。シェールガス採掘は、経済と環境が鋭く対立する論点。米国の連邦レベルでは、どちらかというと経済優先の運営がなされている。オバマ政権の環境重視の規制のもくろみが、連邦議会では認められない。

他方、州やその下の市といった地元レベルでは、規制の動きが進み、ニューヨーク州では、水圧破砕(フラッキング)による採掘を禁じた。科学的に危険は立証されていないが、不明ならば、健康と環境保護を優先しようとするもの。逆に、テキサス州のように州が地元レベルの規制を禁じる動きもある。総じて、開発企業サイドがより上位の連邦や州のレベルで働きかけ、市民が地元レベルで抵抗する構図。

ここから見る米国は一枚岩にも見えるが、この国で起きているのと同じようにせめぎ合いがあること、その活発な働きが問題の理解の深化と、よりよい解決への道筋を立てるのに必要であることがわかる。