至宝の徳冨蘆花2016年05月19日 16:20


至宝の徳冨蘆花

2008年、生誕140年を期してのシンポジウムにまつわる論文集。蘆花の作品全体を俯瞰する論が1本。個々の作品については、「不如帰」と「死の蔭に」に関する論が3本。他数本。通読して、蘆花の人となりが浮かぶ。

経営者や政治家、官僚などに対しては、偉いかもしれないが、ずいぶんとこぢんまりした世界に閉じこもった人たち、と距離を置き、同じ村に暮らす農家に対しても、しょせん自分の畑仕事は遊びの域に止まる、と、どちらからも離れた目線でものを書く。当人には不幸であったかもしれないが、結果、今に読んでも伝わる、人の有り様の描写が出来たのでは、と。

世田谷の蘆花恒春園は訪れたので、残りは、伊香保の文学館と、熊本の記念園。折を見て訪ねてみたい。