フェアユース、権利者不明作品、スマホゲームの消費者問題、馬券訴訟再び2017年01月28日 14:36


ジュリスト2016年11月

●特集は、知財システムについて。
・いわゆるフェアユースに関する論では、Google Booksなどの例を挙げ説明するが、著作物を活用してイノベーションを生み出したい側と、権利者側のバランスは難しい。冒頭の判例速報でも、カタログに絵画の縮小写真を掲載した件が、権利者と争いになっていた。どちらかというと争いを避ける風潮がある中で、イノベーション創出側に倒したいのであれば、少々思い切った法整備が必要になる。
・権利者不明作品問題は、TPPでも著作権の存続期間を延ばして、これ以上、使えない著作物を増やすのか、と議論になった。この問題を扱う論では、集中管理団体を設ける案が検討されるが、国内の議論の進展には、まだ時間がかかりそう。著作の賞味サイクルが短くなり、著作物の数が増えるのとは反対に、利用度合いが下がる中、少し急ぎたいところ。

●「霞ヶ関インフォ」では、スマホゲームのガチャ問題を取り上げる。相談件数のピークは2012年度だったそうだが、いまだに消費者センターなどへの相談は多く、内閣府消費者委員会が「意見」を表明して、関係省庁や業界に対応を求めた。記事によると、賭博罪に該当する可能性があり、物理的設備を備えないため直接抵触はしないものの、それ以外は風営法の要件を満たすという。仮に、これらに絡めた提訴が幾多なされることがあれば、厳しい結果になることも。

●「租税判例研究」では、最高裁判断後の馬券の払戻金にかかる所得税についての争いを取り上げる。こちらは、一般の馬券愛好家の訴えのようで、「営利を目的とする継続的な行為から生じた所得」ではない、と判示。馬券の購入実態を見極めて判断する、と、先の最高裁の判断がどのような場合でも適用されるのではない、ことを明らかに。いつでも二匹目のどじょうはいるわけではない、という結末。

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