WebViewの想定外のDOMContentLoadedイベント2017年01月04日 09:56

WebView再び。

DOMContentLoaded Event

サイトのHTMLの読込を完了すると、DOMContentLoadedイベントが発生する。上のイベント処理では、WebViewのScaleTransformを設定する処理を呼び出している。Web画面の表示は非同期で行われるので、画面調整は、イベントを受信して行うのが都合がよい。

Timer起動処理

こちらは、タイマ割り込みで呼び出す処理。WebViewの更新間隔を計算し、更新タイミングが到来すると、refreshを呼び出す処理にリストにつないで渡す。

この時、WebViewにBindでデータを供給するCollectionをチェックすると、DOMContentLoadedイベントが発生する。そのため、タイマ間隔ごとに、更新タイミングの到来の有無にかかわらず、全てのWebView画面がカチカチ明滅して煩わしい。

回避するため、Bindされていない履歴管理用の別のCollectionを設けて、こちらをチェックするように改める。想定外のイベント発生で、再び、WebViewに悩まされる。

UI個別のScaleTransformの設定2017年01月04日 10:14

画面に複数のWebViewを配置し、縮小率を別々に設定しようと、WebViewのRenderTransformプロパティを設定すると、全てのWebViewの縮小率が連動して変更される。

ScaleTransformを個別に生成

対処として、ScaleTransformを個別に生成して、WebViewのRenderTransformプロパティに設定する。初期状態では、WebViewのRenderTransformは、共有されている様子。

この動きは、WindowsのUIプログラムでは、常識なのかも。こういうのに、毎度、捕まる。

ながら見Web - アプリリリース2017年01月11日 18:44


ながら見Web

「ながら見Web」の名称で、ユニバーサルWindowsアプリをリリース。東京アメッシュや雨雲の動きに地震速報など、見えるところに置いておきたいサイトを縮小して並べて表示。ブラウザのタブのピン止めでもいいのだが、切り替えるのも煩わしい、Edgeだと時々タブ定義が消えてしまうし、というところから。

※アプリのページ

開発時間は、50時間強。シンプルな機能なので、ほぼ、最少の時間。表示に使っているWebViewが癖のある部品なので、少し手こずったくらい。参照専用で入力を受け付けないモードや、音声の制御、再生できる動画の拡充があると使い勝手がよくなる。当初のもくろみでは、NASA TVのISSの中継が表示できるとよかったのだけど。今のところ、静的なページで用いるのが無難。

P.S.
実のところ、ストアへの申請が一度拒絶され、修正に丸一日ほど追加。年末年始は、人手によるチェックが入りやすい。去年もそうだったような。アプリの説明には使用法を書いているが、動かないと返される。説明を読まなくても操作をミスリードしないように作らないといけない、と思い知らされる。おそらくテスターは、英語がネイティブな人。コミュニケーションの難しさの洗礼を年初から。ともあれ、不具合が摘出されて感謝すべきか。

トーン系列を手頃な関数で描けないか2017年01月18日 16:11

PCCS(日本色研配色体系)のトーン系列は、山が黄色(8:Y)にあり、谷が青紫(20:V)にあるような波形を描く。トーンによって、並の高さ(明度)の幅や、うねり具合が異なる。Vividは振れ幅が大きく、Deepはそれよりも小さい。参考資料を探してみたが、計算式を見つけられない。人の視覚を調査してプロットした波形で、先に式があるものではないのかもしれない。

トーン系列を正弦曲線で描いてみる

それでも、波を描くのだから、正弦曲線でなんとかならないかとMathematicaで描いてみる。Sinを用いた式を立て、山と谷の位置で色相と明度を設定して係数をSolveで解く。山と谷の位置はあわせられるが、その途中はずれが大きい。参考資料に掲載の図を見てみると、山の尖度は大きめで、谷はゆったりした形のようだ。

トーン系列をCycloidで描いてみる

そんな形の曲線はないか、と、WolframのDemonstrationのサイトを覗いてみる。Cycloidのデモが描く図形が似ている。作者は、AntiCycloidと呼んでいる。パラメータを変えて描いてみると、確かに、それらしい図形が描ける。しかし、楕円積分を実装するのは、大変そう。

トーン系列を正弦関数と指数関数の組み合わせで描いてみる

要は、正弦曲線を描くときのx軸の進み方が加速減速すればいいはず。そこで、代わりに指数関数を組み合わせてみると、やや谷底がなだらかすぎる気もするが、それらしい図形になる。2項の組み合わせになったのは、試行錯誤の結果。

トーン系列を正弦関数と指数関数の組み合わせで描いてみる

正弦曲線の時と同様に、それぞれのトーンについて式を立て、係数をSolveで解いてみる。正しさの保証はないが、それらしい色が出るようになった。

トーンと色の見本帳 - アプリリリース2017年01月20日 13:15


トーンと色の見本帳

「トーンと色の見本帳」の名称で、ユニバーサルWindowsアプリをリリース。アプリのデザインでは、Windows定義色を使うことが多いが、名称では色のイメージがつかみにくい、トーンと色相でイメージする色を用いたい、というところから。

※アプリのページ

生成した赤の等色相面

開発時間は、50時間弱。一画面アプリなので、このくらい。もっと簡単に仕上がるかと思ったが、PCCSのトーン系列が、もくろみとは異なり、簡単な正弦曲線とはいかず、試行錯誤。上図のような等色相面を生成してみて気づく。色相による明度の相違を表現できていなかった。実際のところ、曲線の根拠となる計算式を見つけられず、参考資料の図に当てはまるようにしたまで。ここは今後の課題。もう少し参考資料を漁ってみる。

Windows定義色の全体像

発見したのは、Windows定義色が、意外と明度、彩度、トーンに偏りがあること(上図)。BrightやDeep、Dark Greyishの領域にはほとんど色がない。

もう一つは、RGB(ARGB)の表現域が、思いのほか狭いこと。そのため、Windowsの定義色が偏っているのだけど。話題のHDRをWindowsが取り込んでくれれば、改善するのかしら。でも、DirectXのみの対応だと寂しい。それまでは、トーンと色相からイメージした色を生成しても、表現できず、あまりお役に立てないかも。まあ、雰囲気だけでも。

線路に立ち入り事故を招いた認知症の人の家族の責任2017年01月27日 11:02


ジュリスト2016年7月

「最高裁、時の判例」の欄にて、報道でも話題となった、認知症の人が線路に立ち入り事故を起こしたのに対し、鉄道会社が家族に損害賠償を求めた裁判を取り上げる。

事故を起こし死亡した方は、要介護4。訴えられた、その妻は要介護1。同じく訴えられた長男は両親とは別の住まい。その妻が近所に転居して介護の補助をしていた。

報道にあったように、最高裁は、妻も長男も、訴えの根拠とされた民法714条1項による「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」にあたらないと判じ、損害賠償の請求を棄却した。

司法が異なる判断をしていれば、認知症の人を閉じ込めることになりかねず、また、介護のために親と同居することも躊躇われることになりかねなかった。

訴えた鉄道会社も、訴えなければ、逆に株主から損害賠償請求を求められかねないとの判断だったろうが、自身の安全対策の実施や立法が後手に回ったと言える。裁判の常とはいえ、訴えの前に手を打てていれば、と。

フランク三浦、期間限定キャンペーン2017年01月27日 11:52


ジュリスト2016年8月

●「知財判例速報」にて、「フランク三浦」のパロディ商標の事件を取り上げる。時計に詳しくないので、商標取り消しを求めた「FRANCK MULLER」を知らなかったが、高級時計ブランドでしたか。

前審となる商標の無効審判で特許庁が無効を認めたが、知財高判がこれを取り消す。解説を読む限り、どんなパロディ商標もOK、というのではなく、具体的事情を踏まえ判断する、ということ。パロディ商標は、それなりの覚悟をもって、ということは変わらない。

●もう一つ。「経済法判例研究会」にて、弁護士事務所が過払い金返還請求について、期間限定キャンペーンを、約5年の間、1ヶ月程度の期間を空けて繰り返していた件につき、消費者庁が一般消費者に誤認される表示であるとして、停止を命じた件を取り上げる。

弁護士業務に関する広告は、2000年に日弁連が自由化したそう。大丈夫と思ったのだろうが、弁護士も人の子、やはり、金儲けの誘惑には逆らえず、といったところ。最近の人は、通販サイトで十分免役がついてきているとは思うけど。

特商法改正の記事も別にあるが、立法や行政に任せるだけでなく、消費者も無知ではいられない。

震災特集、電力託送料金、ヤフーへの法人税更正処分を巡る争い2017年01月27日 18:15


ジュリスト2016年9月

●特集は、「震災と企業法務」。冒頭の鼎談では、阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震等での経験や法整備のちぐはぐさが語られる。

・被災者生活再建支援法では、例えば、たばこ屋さんの2階の住居は支援するが1階のお店は支援しない。
・災害のエキスパートは消防だが、消防法では、法整備がほとんどなされていない。
・災害時は個人情報保護法の例外になるはずが、実際に災害が起きるととっさの判断ができず、遺族や負傷者の家族からの問い合わせを拒絶。
・おなじく、要援護者情報の入ったUSBを担当職員が首を覚悟で外部提供して避難に成功したが、本来問題ないはず。
・避難所で物資を手際よく運んでいたのは自衛隊員だが、指示をしていたのは宅配業者の従業員。
・行政が支援物資を現地に送り込んだが、仕分け・配送の専門家がいなかったため、倉庫に保管したままに。
・石油が足りないと言うばかりで、具体的な場所や量を指定した発注をしていなかった。

形ばかり整えても、いざというときには役に立たず。現場の臨機応変ぶりを美談にして終わらせず、普段からやっておくことがある。

●「霞ヶ関インフォ」では、電力託送料金を扱う。電力の小売り料金は、家計支出の約4%。そのうち、3~4割が託送料金。その8割ほどが、設備費用。家庭向けと産業向けの配分は、ピーク時の使用割合で行うが、家庭向けの割合が増える計算方式。夏場の帰宅時の一斉にエアコンを使う時間帯の電力量を選ぶようなことになるらしい。さらに、原発の費用のうち後で見つかった未回収分を託送料金に入れることになり、複雑に。今後の送配電分離と、それぞれの料金算定の議論を見守っていく必要がある。

●このところの判例欄を賑わしているのが、法人税の更正処分と過少申告加算税の賦課決定処分に対し、ヤフーが取り消しを求める事案。ひとことで言うと租税回避を巡る事件。

・ヤフーの代表取締役社長が、多額の未処理欠損金のある子会社の取締役副社長に就任。
・続いて、ヤフーは、その子会社を合併。
・その上で、ヤフーは、子会社の未処理欠損金を、損金として処理。

最高裁まで争われた結果、この最初の副社長就任の行為が、もっぱら法人税の負担の減少をねらったものと判断された。

営利企業として利益のためには、法の隙間をつくのは当然、むしろ、株主に対する義務と考える向きもあるが、退けられた。前号のタックスヘイブンの特集では、コーポレートガバナンスの観点からもとるべきではないとの論があった。確かに、CSRやコンプライアンスをうたう一方で、他の納税者に負担を押しつけるのは、一貫しない。