IEEE Computer 2013/7 米国の通信傍受状況2013年11月05日 13:11

IEEE Computer 2013年7月号の記事から。ネバダ大学、Hal Berghel氏の寄稿。
http://www.computer.org/csdl/mags/co/2013/07/index.html

米国の通信傍受
米国National Security Agencyによる通信傍受にまつわる報道についての解説。記事では、通信傍受とそれにまつわる事件は、手段を変えつつ、1950年代から続くものと指摘する。マスコミが騒ぐのも、政治家の反応も、「話を本筋からそらせるもの(red herrings)」とは手厳しい。大きな政府に否定的な面々が、情報については政府の介入を広げようとしている、と皮肉る。議論はどうあれ、ユタ州のデータセンター建設など、通信傍受とその解析の動きは進む。それにどう向き合うか。

米国と密接な関係を持ち、米国のサービスを多用する以上、私たちにも人ごとではない。国内でも秘密保護法案の議論があるが、少なくとも米国で実施されているレベルは、期待されているのだろう。戦前の制度を持ち出して批判する論もあるが、米国のスノーデン氏に対する厳しい追及の有様の方が参考になる。是非の判断は難しいが、取材のあいまいな自主規制や、政府の境目のはっきりしない情報公開の現状が、両者が境界に真剣に向き合い、場合によっては訴追を恐れず事実を追う取材が行われるようになる、と見れば、ジャーナリズムの再生の機会になるというのは、皮肉に過ぎるか。


日経平均公式ガイドブック2013年11月05日 15:19


日経平均公式ガイドブック
TV東京のモーニングサテライトで、春頃、入門書紹介のコーナーがあり、取り上げられていたと記憶する。しばらく、版切れだったが、第2版として刊行。アベノミクスのはじめの部分までカバーする。体系的に学ぶ機会の少ない個人投資家には、実際を知るよいガイド。勝手に知っているつもりになっているところを、補ってくれる。生兵法は危ない。巻末の「日付別・上昇確率カレンダー」が便利。中長期の投資で、銘柄入れ替えのタイミングを計るのにちょうどいい。近時の上下に一喜一憂するところ、これを見て少し落ち着こう。

本書で紹介されている「日経平均プロフィル」のページも便利。


ジュリスト2013年10月号 競馬の払戻金の事件2013年11月05日 17:01


ジュリスト2013年10月号
ジュリスト2013年10月号、8ページ、租税判例速報。メディアでも随分騒がれた事件の評論。馬券ソフトを利用して10億以上の取引を行っていたところ、所得税を正しく申告していなかったとして訴追された刑事事件の判断。

判決文はこちら。最近の裁判所は進んだものだ。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83313&hanreiKbn=04

大阪地裁の判断は、競馬の払戻金は、一般に雑所得とされるところ、強度に連続性のある本件の行為は全体として「資産運用」にあたり、一時所得に該当すると判断した。FX取引と変わらないではないか、という趣旨の一文がある。一時所得と判断することで、外れ馬券の購入費用も必要経費になる、と導いた。勝ち馬投票券だから、と、形式的に判断するのではなく、行為の全体を見て判断するところは、日本の裁判所の判断らしいと言えばらしい。

検察は控訴したようなので、結果が確定するのはまだ先。それと、本件は刑事事件なので、租税当局とのやりとりがあれば、それとは別。立法当時想定されていなかった行為をどう判断するか、法の隙間をどう埋めるか。そういう裁判所の機能が問われている。