聖悠紀、超人ロック2022年12月18日 11:10


ロック最後の登場シーン

OURS 2020年12月号、最後となった連載、ロック登場の最後のシーン。

聖悠紀氏の逝去の報を聞く。連載をたどるかぎり、創作に捧げた一生。

好きな話は、書を守るものの一連のお話。巷の人気はそうでもないと聞くが、大きな流れの中に様々な話を差し挟んでいく進行は、長編の醍醐味。

ロックのライバルといえば、ライガー教授。天才が故に万能感に支配された人物。ロックがまさに万能の力を得ながら無力感を漂わせているのと対照的。彼のような人物は、いつの時代も世の中を進歩させつつも、混沌をまき散らす。帝国も彼の置き土産の一つ。人々に優れた技術と物質的な豊かさを保証するが、最後、ロックはその延命を良しとせず、引導を渡す。その後、再生した連邦は、お世辞にもうまくいっているとはいえないが、人が中心の世界であり続けようとする。

最後の方の作品は、舞台をラフノールに戻す。特殊性が故に疎外され続けた人々。彼等が世界を受け容れ、世界が彼等を受け容れる、そんなシーンを描きたかったのか。この先は、私たちが思い描いていく世界。