NHK受信料訴訟 - ジュリスト2018年5月2019年02月28日 10:15


ジュリスト2018年5月

特集は、2017年12月の最高裁大法廷のNHK受信料にかかる判決。NHKの設立は、昭和25年の放送法に基づく。その立法趣旨まで遡り、「公共放送」を担うあり方として、放送をめぐる環境変化が生じつつあるとしても、現状の有り様を憲法に反するものではない、と判示。

逆に、環境変化の行方によっては、有り様を変えていくことが必要であり、いっそうの自己規律、自己変革を求めているとも読める。NHKにフリーハンドを与えるものではない様子。

「公共放送」の制度設計としては、財源の確保と、政治的なプレッシャーから一定の距離を取ることが求められる。米国では、公的な財源の方が、時の政権の影響を受けやすく、私企業中心の方が望ましいとされている(P.19)など、文化の有り様に強く影響される。NHKの受信料制度も、大多数の世帯が自主的に受信料契約を受諾することで成り立っており、この国らしい。

求められることも自ずと異なる。日本では、災害などで、全ての人に迅速で正確な情報提供を行う要請が強い。しかし、米国の同時多発テロで電波塔が倒壊し、低所得者層の多い地域への電波が届かない事情が生じた際、「それは彼らもビジネスだからしょうがない(P.31)」と是認する意見があったという。これも、地域差から生じる違い。

「公共放送」。普遍的な制度があるわけでなく、どの国も、微妙なバランスをとるために、ある意味「中途半端(P.45)」な制度を上手に運営していくことが求められている。

冒頭の「租税判例速報」では、馬券払戻金の税金をめぐる別の判決「札幌事件」を取り上げる。結論は、これまでの流れを汲むが、今回は、コンピュータソフトウェアを使用していない。そろそろ、法的な手当てを行い、区分を明確化することが必要そう。

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