おくのほそ道2018年04月25日 09:16

アニメの世界で聖地巡礼が話題になって久しい。しかし、鑑みるに、和歌などに詠まれた土地を訪ねることは、ずいぶん前からあったように思う。そこで、伊勢物語や土佐日記をぱらぱらとめくるが、記憶にある記述に巡り会わない。もう少し確実なところで、おくのほそ道に取り組む。

おくのほそ道

岩波文庫版。芭蕉の本文に加え、同行者曽良の日記、江戸時代の簑笠庵梨一による注釈書を収める。同じ旅程を異なる目で3度たどることになる。

改めて読んでみると、芭蕉の旅は名所旧跡をたどるというよりも、慣れ親しんだ詩文に縁のある土地や景色を訪ねることにある、と、これまでの印象を再確認する。聖地巡礼では、それ自体はなにげない場所でも、作品で描かれた情景を重ねることで、旅の楽しみを増す。江戸時代のそれはやや素っ気ないが、土地の人との交流も同じ。

せっかくの紀行文なので、地理院地図やGoogle Mapを開きながら読み進むのが楽しい。徒歩旅なので地形の確認が肝要。川の流れは変わっていることも多い。句碑や宿になることも多い寺社名はGoogle Mapが頼りになる。悲しいのは、最近の市町村合併のために、注釈に記された地名が多く変わっていること。郡や市の名前はあてにならず、その下の町名を頼りに地図上で目をこらして探すこと幾たび。

さて、聖地巡礼、江戸より前ももう少し探してみる。