Curtain: Poirot's Last Case ― 2018年10月29日 19:07
Poirotの最後の事件。最初の「Mysterious Affair at Styles」と同じ舞台。雰囲気をつかむため、復習にと、Amazon Prime VideoでDavid Suchetのドラマを見てから読み始める。文章は最初作と比べると洗練され、苦労して読み進めたのとは違う。執筆は、1940年代とのこと。クリスティの晩年の作ではない。1975年まで封印されていた。経緯は、末尾の解説に詳しい。
冒頭、Poirotの姿が痛ましい。David Suchetのちょこまかとした元気な所作が印象的だっただけになおさら。Hastingsの娘が登場し、父と娘の確執が描かれる。女性の作者が、父親の立場から描くのだが違和感がないのが驚き。大きな事件が起きるのは、半分を大きく過ぎてから。事件は続き、終末へと駆け上がる。
終わりに、Poirotは手記の中で、この事件の類型は、新しいものではなく、Othelloにも見ることができると語る。自らの手を血に染めることなく、言葉巧みに、人の命を奪う。このくだりを読んで思い浮かべたのが、伊藤計劃の虐殺器官。Othelloに始まり、Curtainと継がれ、極地に至るか。
なお、Kindle版では、末尾に、Poirotの作品解説がつき、次に読む作品へのよい索引になっている。その代わり、読書位置表示は82%ほどで末尾なので、ペース配分には注意。
さて、長らく使ってきた Kindle Second Generation。登録が2009年10月だから、10年近く。ここのところバッテリーが少し膨らんできた感じで、取り替え時。辞書機能は少々使い勝手が悪いが、音声読み上げ機能は、ときどき重宝。今なら、Echoを入れれば、代替になるのか。
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