和漢診療学 あたらしい漢方2019年05月31日 10:16


和漢診療学

人間ドックで院内をまわっていた折、内科の掲示板で紹介されていた本。

漢方というと、なんとなく効き目の穏やかな薬、という理解が実は危ない。分析的な取り組みで進歩してきた西洋の医学、患者と向き合い心身の全体性から導く治験を積み重ねてきた漢方の医学、物事の見方が異なるというのが本質。薬の効き方の話ではない。

この両者を融合し、西洋の医学に全体性を見る方向性を、漢方の医学に理屈や説明を与えようとするのが、本書の題名となる和漢診療学。症例をもとにした解説に納得力がある。研究は途上で、著者の見解にとどまるものも多いが、自身の健康を考える上でも示唆に富む。

頭に浮かんだのは、統計の力を借りて品種改良を進めてきた農学や、有用な物質の発見を目指してきた化学の世界。それぞれ理屈や仕組みを知りようのない中、試行錯誤を経て結果を出し、最近になってコンピュータシミュレーションなどで仕組みがわかるようになってきた。そう見れば、特段不思議でもおかしなものでもない。ごく自然な方向性である。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://c5d5e5.asablo.jp/blog/2019/05/31/9079170/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。