OSAMA - Lavie Tidhar2014年06月03日 21:50


OSAMA - Lavie Tidhar

おそらく、SFマガジンの書評欄あたりが気になって、Kindleで読み始めたはずだが、ちょっと怪しい。物語は、SF味は少々あるが、SFという印象ではない。

Joeという名の主人公が、探偵を生業としていることになっているが、ある女性から人捜しの依頼を受ける。そこから、探索の旅が始まる。住処であるラオスのビエンチャンから、パリ、ロンドン、ニューヨーク、カブール。探索の物語と並行して、各地でくりかえされるテロが描かれる。探偵の旅という旋律の後ろでテロの描写が通奏低音のように鳴り、探偵の旅を暗く彩る。最後に、二つの軸線は交わるが、そこに驚きを求める物語ではない。探偵とともに探索の旅をし、ともに見聞きし、感じ、考える、そんな物語であった。

表題のOSAMAは、オサマ・ビン・ラディンのこと。刊行は2011年。執筆中は、まだ、彼は謎の人物だったと思われる。本書では、彼を描く本が、物語のキーアイテムとなっている。

さて、本書は、Kindleで読んだのだが、今更、辞書引き機能があることを思い出し、これのお世話になった。初期型なので、The New Oxford Amaerican Dictionaryのみが利用できるが、それでも、ずいぶん、読み進めるのが楽になった。電子辞書やPCの辞書を引くと、視線も動作も切り替えることになり、物語への没入が中断するが、Kindleの辞書引きではなんとか持ちこたえる。この違いは大きい。頭の中に形作られたイメージが崩れる前に、物語を進められる。表示される辞書欄が小さいので必要な説明が表示されないことがある、"-"付きの言葉はうまく検索されない、という弱点はあるものの。

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