孔子の見た星空2013年10月09日 11:50

孔子の見た星空
物理学の先生が書かれた星空と漢詩文のお話。発行は、大修館書店。
最初に読んだときは、随分と天体に詳しい漢詩の先生だと思ったが、著者紹介を読んで納得。

孔子、とあるが、清代までの中国の長い歴史上の漢詩文に詠まれた星々を巡る。時に、関連する日本の詩文も登場する。

なにより、面白いのは、ステラナビゲータを駆使して、詩文の詠まれた当時の星空を再現し、論ずるところ。さすがに二千年も前の星空は、今とはだいぶ異なる。再現した星空を元に、これまでの解釈を正していくところは、さすがに科学の先生。北極星を巡る議論など、なかなかのもの。

ステラナビゲータ:アストロアーツの天文ソフト
http://www.astroarts.co.jp/
星空を観察するために、星空を再現するのが、本来の用途だが、こんな使い方もあるとは。

星座というと、すっかり西洋のそれに馴染んでしまっているが、中国の星座の話も興味深い。同じ星の並びを見て、何を想像したのか。中国では、今も通用するのだろうか。

手元に、漢詩の詩集があれば、時折、参照しながら、いっそう楽しめる。詩経、杜甫、李白、白居易、唐詩選、など。逆に、本書があれば、詩文に登場する星、星座の理解も助かる。