イオン株主総会、第92期 ― 2017年05月24日 19:07
映像による事業報告の説明の中で、次期の配当予想は、15+15円。今期と変わらず。これを受けて、岡田社長から、今日は中長期の話と前置きして、3カ年の中期経営計画をもとにした説明。
・売上高は順調に伸びているが、営業利益は6年ほど停滞。要因は、ダイエーとイオンリテールの事業。
・ダイエーは、再生機構の取り組みが、有力資産や事業の売却に終始し、銀行救済の色彩が強いもの。イオンが引き取ったとき、売上高は大きく落ち込み、主だった資産は人材のみ。そこから、余剰人員をグループ内で引き取り、事業の見直しを進め、次期、ようやく黒字化のめどが立った。
・2018年度から、新規出店を再開し、成長路線に舵を切る。1980年、小売として、初めて売上高1兆円を達成した、そのレベルに挑む。具体的には、近畿地方の食品スーパーの再編をダイエーを中心に進める。
・イオンリテールは、東北の震災以後、食品が牽引の役割を果たせなくなった。衣料品と住居関連も伸び悩む。消費増税の折、値上げすべし、との風潮に無力であった。価格監視のために、多くの役人が採用される有様であった。
・中身を見ると、人件費増を粗利増でまかなえていない。利益に連動した報酬体系を取っているので、従業員の給与も上がっていない。
・トップヴァリュは、2013年以降、伸び悩む。製品開拓が中途半端になりつつある。現在は、中身を整理中である。
・GMS業界では、衣料品や住居関連からの撤退が相次ぐ。イオンは、まだ、勝てる位置にいる。
・衣料品では、ユニクロが1位を独走し、しまむらが続く、イオンは3位。基本的な衣料品を抑えつつ、利益率の高い服飾品に力を入れる。
・住居関連では、トップはニトリ、2位はDCMホールディングス、イオンは3位だが、ここまでは僅差。
・両分野については、世代交替と、グローバル展開を協力に進める。
・事業の成長分野としては、ディスカウント事業に力を入れる。ドンキホーテがトップだが、ザ・ビッグの事業も3位につけている。
・物流・SCMの改善も進める。1990年代は業界のトップであったが、今では遅れている。
時間が押して、最後の方は駆け足。そこここに、経済政策への恨み節。アベノミクススタート時の総会以来。昨今のインフレありきの政策は、生活密着系の業種には不満が多いようす。
ここから質疑応答。お店のサービスなどへの質問、要望が多いのはいつも通り。気になったものをいくつか挙げる。
・ネットビジネスへの取り組みは。
→ネットスーパーに注力。前年比120%の伸び。
実際に使ってみると、粗も見えるのだけど。
・イオン銀行の口座振替で千葉の地元の水道局が対象になっていない。
→対象を増やしている最中。クレジットカードが使える箇所もあるので、そちらもあわせて。
クレジットカードは手数料が高いが、イオンに閉じる分にはいいのか。
・イオン銀行の口座数が頭打ちでは。
→口座数600万ほど。イオンカードの発行数は2600万あり、そこに向けて訴求する。
・赤字となっている国際事業の内訳は。
→中国の赤字が要因。香港のGMSが施設の老朽化で売上減。中国本土は先行投資がかさんでいる。3カ年の中計の終了の折は、黒字化の予定。
・モールに入居する接骨院の看板などで法令違反とみられる表記が横行。
→早速、調査する。
「リラクゼーション」目的というのがいけないらしいが。
・カスミ店舗での傷みの見られる野菜への値引きを求めた際の対応について。
→傷みがないようにするのが先決。店員の対応は、引き続き改善に努める。
かつてのカスミ社長が回答者になる皮肉。
・イオンペットの生体販売での殺処分等への取り組み。
→イオンペット自身での生体販売は行っていない。テナントが実施する場合がある。問題が生じないよう、テナントの選定の段階でチェックしている。
・モール内の店舗でイオンカードもWAONも使えないところがある。
→モール内のテナントでは、両方とも使用できるのが基本。確認する。
・EV充電設備への取り組みは。
→150モール中、131モールに設置済み。数が少ないので、交替で利用してもらう必要があるが、拡充を進める。
・将来目標とする利益水準は。
→事業ごとに利益水準が異なり、簡単に計算できないが、国際的なプレイヤーとしては、事業を総合して5%は必要。まだまだ、改善が必要。
こちらは、岡田社長から。
・イオンラウンジへの質疑が複数。拡充を求める声と、不平等感が強く廃止を求める声。
会場には、昨年の総会で話題なった移動店舗の展示。お店のない地域や老人ホーム等への訪問に使われているもののよう。
いつものように、帰りは、幕張新都心店で買い物。お昼は補助券があるので、いろいろまわって仙台の牛タンのお店。厨房を覗いてみるが肉タワーはなし。もう少し熟成感のある方が好み。
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