鎖国 ― 2014年09月02日 18:00
朝尾直弘著作集の第五巻。鎖国。小学館「日本の歴史」の一冊からの再録。
秀吉のキリシタン禁令に始まり、貿易の変遷、欧州各国の確執、徳川の西国支配の進展、長崎への貿易の集中、朝鮮や琉球それに蝦夷地との関係、島原の乱、貿易に依存する経済から内需経済への移行、政治の関心の内政への移行、等を通じ、徳川の治世が確立するまでを述べる。史料を元にした論文ではなく、一般向けであるため、読みやすい。所々脱線もある。
・鎖国前夜の国内外の勢力の足の引っ張り合いのすさまじさ。スペイン(含むポルトガル)対オランダおよび英国、スペインの宣教師内の対立、貿易権益をもつ大名と幕府、貿易を担ってきた豊臣ゆかりの代官と幕府。このすさまじさは、当時の民度の低さを言うべきか、むしろ、古今の差はなく暴利が人を狂わせたと言うべきか。出島の「オランダ商館の輸入品利益は10から30割増」との記述がある。粗利としても50~75%、経費を除いた利益だとすればとんでもない。
・島原の乱。ここまで鎖国についてきて述べてきて、歴史の必然の積み重ねの先に、のっぴきならぬ事態に陥ったことを知る。以前、島原鉄道に乗り鉄で訪れたことを思い出す。そのときは、半島と海の美しさしか見ていなかった。
2002年。まだ、島原鉄道が通っていた頃、加津佐から天草方面を望む。
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