今月は黒ごま餡2014年11月01日 11:43


福月餅11月は黒ごま餡

オランダ家、毎月一日恒例の福月餅。11月は黒ごま餡。真っ黒な肌に絞り模様のつや。
あいにく天気は雨模様。晴れ間を縫って買い求める。

名作写真館14 大山行男2014年11月05日 07:40


名作写真館14 大山行男

NHKの日本百名山のビデオで富士山を見返していたときに登場した写真家の写真集。この番組ではよく写真家が登場する。山に魅せられているうちに写真家になってしまった人、の方が正しいか。大判のものが多い中で、手軽そうなムックを取り寄せてみた。

ビデオの中では、富士山麓に家を建ててまで富士の写真にこだわる写真家、という程度の認識だったが、写真集を開いてみると、一念岩をも通す、の執念で富士に向かい合っていることが伝わってくる。本人の表情は、普通にやっているだけ、という体ではあるが。

彩雲の写真は初めて見た。このような気象現象があるとは。天女の羽衣とはよく言ったもの。また、空撮で撮った富士の肌は実に生々しい。森林限界を大きく突き抜けた山ならでは。

江戸川区自然動物園2014年11月05日 18:15

多摩動物公園で休園日にぶつかった恨みを晴らす訳ではないが、比較的近所の西葛西に自然動物園を見つけ、そばをいただくついでに出掛ける。
http://www.edogawa-kankyozaidan.jp/zoo/

江戸川区自然動物園

イオンの方から入船公園に入るとすぐに、自然動物園の入り口。無料。

リスザル

最初に出迎えてくれるのは、リスザル。これがなんとも動きが素早い。見ていて実に楽しいが、気合いを入れないと写真もままならない。動きの速い被写体の練習には格好。

レッサーパンダ

少し先に行くと、レッサーパンダ。木陰の奥にいてなかなか出てこない。毛のふさふさ感がいい。

ハイイロリス

リスザルほどではないが、よく動くのがハイイロリス。中に、真っ白なのが一匹。

プレーリードッグ

その先にプレーリードッグ。これだけ集まっていると、ぬいぐるみ売り場のよう。

ペンギン

葛西臨海公園から出張しているのか、ペンギンも。

うさぎ

でも、素直にかわいいのは、ふれあいコーナーにいるうさぎやひつじに、にわとり。

自然動物園のマップ

ほかにも色々。大きな動物園ではないが、近くでじっくり観察できるのはいい。

平成庭園のすすき

自然動物園のとなりは、平成庭園。池を囲んだ日本庭園。水面にすすきと紅葉。

サザンカ

おそらくサザンカの花。

ツワブキ

ツワブキもあちらこちらで咲いている。

猫

動物を見に行ったせいか、行き帰りに猫をたくさん見かける。

猫

新川の遊歩道。

猫

江戸川の河川敷。ここは5匹ほどで集会中。

近世とはなにか2014年11月06日 14:59


近世とはなにか

朝尾直弘著作集の第八巻。近世とはなにか。最終巻。日本史の中での近世の位置づけ、日本史という学問の学問史、学問としてのあり方、等を論ずる。これまでの巻で論じてきた事柄の総括となる論も多い。

・先達にあたる三浦周行の歴史の定義を引く箇所がある。時代の変わり目といわれる今、どんな暗流が流れ、どの程度漲ってきているのであろうか。
「社会の裏面や下層に流れて居る暗流が、段々と漲って来るにつれて、これまで表面勢力のあった上層のものも、いつしかそれに推し流されて漸次下層と入れ替わる」

・近世に市民社会の芽生えを感じ取り、述べている。期間は違うが、戦後の経済発展後、今に至る社会の沈滞状況に通じるものはないか。
「三〇〇年の平和は一方で社会の固定化をもたらし、民衆の獲得した新しい秩序を因習と抑圧の機構と化し、人々の生活を姑息にしばりつける結果を生み出した。(中略)一般民衆がそのことに気づくためには、精巧にできあがったかれら自身の村落自治、村掟の秩序を一度解きくずさねばならないであろう。それは中世農民の闘いの成果であっただけになかなかの大事業であった」

IEEE Computer 2014/82014年11月06日 17:36

IEEE Computerの2014年8月号。Technology Commercialization in the Innovation Economy、という特集。日本語にしにくいが、技術開発をどう商売に結びつけるか、というところか。Innovation Economyからして難しい。説明では、技術、知識、起業、が貨幣として流通する世界、とある。

IEEE Computer 2014/8

特集の一つとして、ベンチャーキャピタルの面々(4名)が論じた一文がある。

有望な分野
・ビッグデータとその分析
・モバイルサービス
・クラウドコンピューティング
・ソーシャルWeb (SNSを介する消費者のつながり)
・モノのインターネット (IoT)
ビッグデータとモバイルに言及する声が多い。

キーパーソン
CMO:マーケティングの責任者
SNSの情報を駆使しつつ、地域の特性を考慮し、リアルタイムに、かつ効率的に判断しなければならない。考えてみれば、ずいぶん困難な要求であり、故に有望である。

シリコンバレーでの教訓
一つの地域に色々な機能が集約し、エコシステムができていることが、重要であるという。
・ベンチャーファンドが集まっている
・ベンチャーを育むインキュベーターが揃っている
・産まれたベンチャーを大きく開花させるチーム(accelerators)が揃っている
・技術開発センターが集まっている
他方、テキサスの成功事例も報告されており、小ぶりであってもエコシステムの構築に成功している例もある様子。

さて、技術開発を元にした地方創生も唱えられているようだが、エコシステムの構築とそれがうまくまわる仕掛けが必要になろう。たとえば、大学を持ってくるだけではまわらない。また、シリコンバレーでは、従来からの住民との軋轢が増しているが、そういったことへの覚悟も必要になる。

それにしても、有望とされている分野は効率化、最適化に関するものが多い。消費が増えるとすれば無駄遣いが増えるくらいか。もっと、人々の活動がより活発になる方向でなければ、経済の全体のパイが大きくなり、雇用が増え、経済成長するイメージが湧かない。先導する国や地域が利益に湧いても、全体に波及しないのはこのあたりに要因がありそう。

ジュリスト2014年10月号2014年11月07日 10:25


ジュリスト2014年10月

・特集は会社法の改正
社外取締役の設置の一層の推進。設置しない場合は理由の開示が求められるようになる。株主総会で社外取締役設置の議案を見てきたが、1)業界内の重鎮にお願いする、2)業界にとらわれず経営経験の豊富な人にお願いする、というパターンが多いように思う。後者は、新しい分野で業界の重鎮がいないケースか。ただし、これらのパターンで、ROE向上、利益向上のための積極的な経営、が進むかといわれると微妙。人材難も課題。

・HOT issueはパーソナルデータの保護と利活用に向けて
IEEE Computerの記事でもビッグデータの活用が成長の要とされているが、国内の制度面の手当はどうか。有識者の座談会の模様を載せるが、参加者の一人が述懐するように「データ」の理解が途上で、データ収集や活用の現場との速度の乖離が大きい。

・霞ヶ関インフォ:クレジットカード取引の環境整備に向けた建議
このところ、カード会社からリボ払いへの変更の案内がしきりだが、消費者被害に対する特商法や割賦法で強化されたクレジット業者の責任が、リボ払いで緩和されるとは知らなかった。たしかに、便利な制度ではあり、それを勧める案内には裏はないのだろうが、深いところでは責任軽減の意図が潜んでいるのかもしれない。このあたり、一般の利用者には気づく手立てもない。結局、悪質な業者にだまされないように利用するときにはよく注意する、に尽きる。

日本近世史2014年11月09日 21:19

しばらく読んでいた朝尾直弘著作集は、およそ1960年代から90年代にかけての論文を集めたもの。それから20年以上経過している。今日、どのようなことが日本史で学ばれているのだろう。

日本近世史

そこで、現在受講できる放送大学の日本近世史の教材を取り寄せてみた。まえがきに、「小学校・中学校・高等学校の日本史の授業で繰り返し学んできた通史とは異なる視点で」、「日本の近世史を政治史的通史ではなく社会の全体史として叙述する」、とある。大学の場では、このような学びの姿がある程度、浸透していることを感じさせる。

教材の本文の方は、15章からなり、およそ3章で一つの大きなテーマを扱う。

・1-3章:近世の都市
 京の町を扱うので朝尾直弘著作集と重なるが、捨子問題などを扱い、一層視野が広がる。
・4-6章:武家の住む都市領域
 江戸の70%が武家地で、人口も半数程度が武家だったという。バブルの後、景気低迷で開発が減り、発掘が進まないとは皮肉。「リサイクル都市江戸」は、一面は真実でも、他方では使い捨て文化も拡がっていた。
・7-9章:城下町、地域経済
 城下町として萩、商業の中心として山口、干拓事業としての周防大島を描く。大阪との交易で栄えた山口が競合の登場で、内需中心に切り替える話など、地方再生は古くて新しい話題。
・10-12章:農村、漁村、山村
 比較的地元の房総を扱う。いすみ鉄道沿線を再び旅してみたくなる。今度は、しっかり沿線を歩いてまわらねば。
・13-15章:寺院と檀家制度
 お寺は戸籍を冠婚葬祭を担う制度に成り下がった、と流布される「近世仏教堕落論」に対し、事例を元に実態を明らかにしようとする。

「リサイクル都市江戸」にしても「近世仏教堕落論」にしても、刺激的な標語は、それが全てのように語られるが、実態はそう単純でない、そのことをあらためて教えられる。これも歴史を学ぶことで得られることの一つ。

日本経済と産業と企業2014年11月13日 08:16


日本経済と産業と企業

伊東光晴氏による、1993年の放送大学の教材。1990年代までの日本経済の発展と、時期的にはちょうど過熱していた日米経済摩擦について、および、技術革新を見据えた将来の展望、等を論じる。

さすがに、20年ほど前の執筆であり、バブル崩壊から金融危機、デフレを経た現在、古くなった記述も多い。それでも、現在を知るために、その基底となっている過去の日本経済について理解を深めるには、いまだ有益な示唆を多く含む。なによりも、事実を元にファクト・ファインディングに努める記述はわかりやすい。

p35 寡占価格について
「価格が上がるのは業界内に一様なコスト増があった場合である。それは、原材料の値上がりであり、多く労働組合による賃金の引き上げが、各社一様に生じた時である。」

寡占市場では、競合に負けじとするために、他の要因では価格上昇は生じにくい。円安で輸入価格が上昇し、商品への価格転嫁が進んでいるのは、そのひとつ。しかし、インフレ目標を達成するには、他方、賃上げが必要なことが示唆されている。大企業には賃上げ要請をしているが、政府が本気ならば、最低賃金の上昇を進めるくらいの策が必要のはず。それができないのは、政治的配慮だが、長期的に見て如何。

p136 日米経済摩擦における米国の政策について
「国民は、正しい厳しい道よりも、誤っていても安易な道を選挙で選ぼうとするのを政治家は知っているからである。」

米国の政治家を指していっているが、日本の政治家も変わらないはず。ちょうど、解散論議が出てきている。この点、政治家を批判しても始まらない。各々の政治目的を達成するため取り得る手段を採用するというのは、経営者が営業目的を達成するため行動するのと同じ。有権者がそのことを認識して、自らの行動を変えなくては始まらない。

p161 パートとエキスパートの結合
労働者が、少数の熟練と、多数の非熟練に別れていく様を、寿司ロボット、ファミリーレストラン、スーパーマーケット、コンビニエンスストアの実例をもって示す。情報通信を中心とした技術革新と、よりよいものを安価に求める志向の帰結である。今にして思えば、デフレ、非正規雇用の進展の源泉は、ここにある。改良、改善の結果なだけに、対応は簡単でない。伊東氏の現在のアベノミクス批判の根本のひとつはここにあるように思う。